
「ブランドカラーが大切なのは分かったけど、実際どうやって決めればいいの?」
前回の記事で、ブランドカラーの基本知識について解説しましたが、
基本はなんとなくわかったけど、自分でどう決めたら良いかわからない。
そのように感じる方も多いのではないでしょうか。

ブランドカラーは、単純に好きな色を選べば良いというものではありません。
もちろん自分の好みも大切ですが、それだけで決めてしまうと
「なんだか発信がしっくりこない」
「お客様に思うような印象が伝わらない」
といつまでも悩みから抜け出せません。
今回は、ブランドカラーを決めるステップと注意点についてお話しします。
ブランドカラーを決める5つのステップ
まず大前提として、ブランドカラーは自分のためだけではなく、お客様とのコミュニケーションのために存在します。
例えば、
- 高級感を伝えたい
- 親しみやすさを伝えたい
- 信頼感を持ってほしい
- 女性らしい世界観を表現したい
など、どんな印象を持ってもらいたいのかによって、
選ぶべき色は変わります。
つまり、
「私は何色が好きか?」ではなく、
「私はどんな存在として認識されたいか?」
ここから考えることが大切です。
実際に私も、普段はモノトーンやビビッドカラーが好きですが、
ブランドカラーは「洗練、高級感、知性、落ち着き」というキーワードから深い紫を採用しています。

ちなみに起業初期は薄紫でした。その変化の過程ものちほど。
「好きな色=与えたい印象」とリンクすれば問題ないですが、色から考えて決めるのはなるべく避けたいです。
第一印象を変える大切なブランドカラーだからこそ、きちんとステップを踏んで決めていくことで、
同じ結論になっても自分の中の納得感や説得力が全然違います。
私が普段から取り入れている具体的な5つのステップをご紹介します。
STEP1|ブランドの土台を整理する
色選びの前に考えたいのが、
- 誰に届けたいのか
- どんな未来に連れていきたいのか(理想のBefore/ After)
- どんな価値観を大切にしているのか
というコンセプト=ブランドの土台です。
例えば実際にいらっしゃった「お子様のねんねコンサルタント」さんの場合。
同じ業種、サービス内容でも、下記のように、対象となる方の背景や目的が少し違うこともあります。
Aさん:
子育て真っ只中の専業主婦ママ。毎晩なかなか寝ない子供にイライラしてしまい、後から自己嫌悪…。
寝かしつけの悩みを解消して、もっと楽しく、にこやかに育児をしたい。
Bさん:
職場復帰を控えている育休中のキャリア思考ママ。仕事が大好きで、復帰後もバリバリ働きたい。
寝かしつけゼロにすることで、学びの時間や自由時間も確保して、仕事と育児のバランスを両立したい。
どちらも同じ「穏やかな子育て」「ママの時間や心のゆとり」を目的にはしていますが、それらをさらに具体的に深掘りいくと、描いている絵が少し違います。
前者なら、安心感や包容力を感じる優しく柔らかなカラー。
後者なら、キャリア志向女性が好む信頼感や洗練された印象を与える、すっきりとしたカラー。
といったように、目的が変わると、伝えるべき印象も変わります。
誰の、どんな悩みを解決し、どんな未来へ導くか。
まずはブランドの方向性を具体的に整理しすることが大切です。


STEP2|自分の価値観や与えたい印象を言語化して、さらに解像度をあげる
次に、整理されたターゲット、サービスの価値から
「大切な価値観」「どんな印象を持ってほしいか」を言葉にして並べていきます。
これは一つではなく、思いつくままでOKです。
さきほどあげた例でいうと、
- 安心感
- 包容力
- 優しさ
- にこやか
- 柔らかさ
- 信頼感
- 洗練
- スッキリ
- バランス
などです。
ここでポイントなのは、そこからできるだけ具体的にすること。
たとえば先ほどの例でいうと、「安心感」という言葉はAさんにもBさんにも共通していますが、
Aさん:穏やかでいられる育児。包まれるような安心感。まあるくふんわりしたイメージ。
Bさん:生活リズムをうまく整えて、家庭と仕事のバランスを取れる安心感。自分時間でリセットできる。
と、同じ言葉でもニュアンスが少し違います。
出てきたキーワードから、さらにマインドマップなどをつかって、そこから連想するものを書き連ね、
言葉のイメージの解像度をあげていきます。


「包まれる」という言葉から派生して、まるい、手、体温、暖色、ベッド、リネン、羽、雲、ペールトーン。
「バランス」という言葉から派生して、均等、当分、オンとオフ、電気、2面性、補色関係、丸さとシャープさ など。
どうでしょう?
Aさん向けのブランドカラーと、Bさん向けのブランドカラー、少し違いが出てきそうですよね。


STEP3|出てきたキーワードからメインカラーの候補を3つ挙げる
STEP2で出てきたキーワードを眺めてみると、
・似た意味や空気感を持つ言葉
・性質の違う言葉
などが集まっていると思います。
ここで大切なのは、最初から一つに絞るのではなく、複数の方向性を並行して考えていくことです。
無理に一つにまとめようとすると、どちらの良さも薄まり、結果的に曖昧な印象になってしまうことがあったり、
よりしっくりくる可能性があるものを検討せずに候補から外してしまうことを避けるためです。
キーワード同士を見比べながら、
- まとめられそうなもの
- あえて分けて考えたいもの
を仕分けし、その上で、ブランドの方向性に合いそうなメインカラーの候補を3案ほど考えてみましょう。
この段階で大切なのは、正解の色を見つけることではありません。
「どんな可能性がありそうか」を探ること。
複数の方向性を比較することで、
「実はこっちの方が自分らしいかも」
「こんな表現方法もあったんだ」
と、新しい発見につながることもあります。
この工程を挟むことで、思い込みにとらわれず、より納得感のあるブランドカラーにたどり着きやすくなります。
STEP 4|ベースカラー・アクセントカラーを決める
3つのメインカラーの候補が決まったら、それぞれに合うベースカラーとアクセントカラーを検討します。
ブランドカラーというとメインカラーばかりに目が行きがちですが、実際の印象を大きく左右するのは配色全体のバランスです。
ベースカラーを決める
まずベースカラーには、ホワイト・グレー・ブラック・ベージュなどの無彩色や低彩度のカラーを選ぶことが一般的です。
この時に意識したいのが「色」ではなく「トーン」。
例えば同じホワイト系でも、
- 真っ白ならクリーンで洗練された印象
- アイボリーなら柔らかく温かみのある印象
- グレージュなら上品で落ち着いた印象
と、与える雰囲気は大きく変わります。
そのため、メインカラーに合わせてブランドの世界観に合うトーンを選んでいきましょう。
アクセントカラーを決める
次にアクセントカラーです。
アクセントカラーは、ボタンや見出し、強調したい部分などに使う色のこと。
例えばネイビーをメインカラーにした場合でも、
- ゴールド系を合わせると上質で高級感のある印象
- オレンジ系を合わせると親しみやすく温かい印象がプラス。補色関係なので、お互いのコントラストが引き立つ
- ライトブルーを合わせると爽やかで軽やかな印象。同系色は落ち着いた印象も与える。
というように、組み合わせによって見え方が変わります。
STEP2や3で整理したキーワードから、全体のベースとなる印象にプラスしたいもの(落ち着き+高級感/信頼感+親しみ など)から選ぶのもおすすめです。
STEP5|3つのカラー案を比較し、ブランドカラーを決定する
メインカラー・ベースカラー・アクセントカラーのブランドカラーが3パターン候補としてあがったら、それらを比較して、市場のポジショニングも考えながら絞っていきます。
この記事では割愛しますが、カラーだけでなく、世界観を補足する写真素材やフォント、デザイン展開した時のイメージもまとめたムードボードを作成すると、より使用感や今後の展開をイメージしながら決められるのでおすすめです。
可能であれば、Canvaのテンプレートや、サイトの仮デザインなどに3色のカラーを当ててみて、より具体的にバランスを検討することがおすすめです。
住宅の壁紙を決める時と同じように、小さな面積で見た時のバランスと、広い面積で見た時のバランスは印象が大きく変わるため、あとから「思っていたよりも暗く感じる」「思っていたよりも主張が強い」などの違和感が生まれることが多いためです。
私もクライアント様にご提案する時は「使用イメージ」へと展開してご提案することを心がけています。


3つを並べ、
- ブランドのコンセプトと合っているか
- 届けたい相手に伝わりそうか
- 自分自身も愛着を持てそうか
という視点でしっかり比較検討します。
ブランドカラーは長く付き合っていくもの。
そのため、「なんとなく好きだから」ではなく、ブランドの価値観や世界観を最も表現できているものはどれかという視点で選んでいきましょう。


ブランドカラーを決める際の注意点
ここまで、ブランドカラーの決め方についてご紹介してきました。
ブランドの土台を整理し、キーワードを言語化しながら方向性を探っていくという決め方をすることで、自分の価値観や世界観に合うカラーの方向性が少し見えてきたのではないでしょうか。
ブランドカラーは頻繁に変えるものではありません。
だからこそ、流行や好みだけで決めるのではなく、長期的な視点で慎重に考えることが大切です。
「なんとなく」の感覚で選んだ結果、後からしっくりこなくなったり、ペルソナとズレていたり、競合と似た印象になってしまったりするケースも少なくありません。
そこで最後に、ブランドカラーを決める際に意識したい3つのポイントをご紹介します。
ブランドカラーを決める時の注意点① 市場の常識を知り、差別化を考える
市場や競合をリサーチしてみると、業界の傾向や、自分らしい立ち位置が見えてくることもあります。
中でも、色のイメージがすでに業界内で浸透しているケースは多く見受けられます。
例えば、
- 医療系ならブルー
- オーガニック系ならグリーン
- 高級ブランドならブラック
などです。
これは、その色が持つ印象と業界の価値観が結びついているためです。
ただし、業界の定番カラーを使えば良いというわけでもありません。
大切なのは、
「なぜその色が使われているのか」を理解した上で、
「自分のブランドはどこで差別化するのか」を考えることです。
ブランドカラーを決める時の注意点② 色だけでなく、トーンも決める
実は印象を大きく左右するのは、色相(赤・青・黄色など)だけではありません。
同じ色でも、
- 明るいのか
- 暗いのか
- 鮮やかなのか
- くすんでいるのか
によって、与える印象は大きく変わります。そこも含めて詳細に検討していきましょう。
私も以前はライラックのような薄紫をブランドカラーとして使用していました。
当時は紫の持つ気品や高級感の中でも「優しさ」「親しみやすさ」や「柔らかさ」を大切にしていたからです。
しかし現在は、より深みのある濃い紫へと変更しました。
経験と共に、
- プロフェッショナルさ
- 本質的であること
- 信頼感
も表現したいと思うようになったからです。
実際にカラーを変更したことで、起業初期のクライアント様が多かったところ、起業3年目以降のリブランディングを検討している方や、単発でのデザイン制作ではなく、本質的なものを大切にされる方が増えてきました。
このように、同じ「紫」でもトーンが変わるだけで与える印象・届く相手は大きく変化します。
もし今のブランドカラーに違和感がある方も、同じ色の中でトーンを変更するだけでも雰囲気を変えることができます。検討してみてくださいね。






ブランドカラーを決める時の注意点③ 色数は3色までを基本にする
「あの色も好き」「この色も使いたい」と色を増やしていくと、ブランドの印象は少しずつ曖昧になってしまいます。
特に個人ブランドや小規模事業の場合は、〈メインカラー・ベースカラー・アクセントカラー〉の3色をを基本に考えるのがおすすめです。
色数を絞ることで統一感が生まれ、SNSやWebサイト、資料などもブランドとして認識してもらいやすくなります。
もちろん、子ども向けの教室やサービス、雑貨店やセレクトショップなど、多様性や楽しさを表現したいブランドでは、あえて複数のカラーを使用するケースもあります。
ただ、その場合も無計画に色を増やしているわけではなく、
「楽しさ」
「自由さ」
「選ぶワクワク感」
といったブランドコンセプトに沿って設計されています。
まずはブランドの軸をしっかりと決めた上で、必要に応じて補助カラーを増やしていく方が、統一感のあるブランドを作りやすいです。
ブランドカラーはコンセプトから考える
ブランドカラーは、ただ好きな色を選ぶものではありません。
ブランドの土台や価値観、届けたい相手、そして叶えたい未来。
そうした要素を整理していくことで、はじめて「自分らしい色」が見えてきます。
また、色そのものだけでなく、
- 業界の傾向
- トーン
- 配色のバランス
まで含めて考えることで、より一貫性のあるブランドづくりにつながります。
もし今、ブランドカラー選びに迷っているなら、「何色が正解か」を探すのではなく、
「私は何を大切にしたいのか」
「誰にどんな価値を届けたいのか」
という視点から考えてみてください。
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